この記事を読んで下さっているみなさま、こんにちは!エコスタッフ・ジャパン株式会社(ESJ)の石中です。
このコラムでは、主に「産業廃棄物に関する基礎知識」や「環境に関する時事ニュース」について取り上げて解説しております。
今回のテーマは「電池の捨て方について」です!
そろそろ寒さが本格化してきた中で、大掃除など身の回りを整理する際に、使い終わった電池も出てくるかと思います。
化学が目覚ましい発展を遂げた昨今でもまだまだ現役の電池ですが、
案外捨て場所や捨て方が分からずに困っている方も多いのではないでしょうか。
第■回となる今回のコラムでは、「電池の捨て方について」簡単に解説していきます。


※1 マンガン乾電池は、形状記号のみで表します。
※2 実例として、NH、HH、THなどが用いられる場合があります。
※3 実例として、N、Pなどが用いられる場合があります。
※4 実例として、CG、ICP、LIP、U、UPなどが用いられる場合があります。
結論から申し上げますと、乾電池(アルカリ、マンガン)、リチウム一次電池については
一般ごみとして捨てることができます。
多くの市町村では、基本的に区立施設や回収協力店等に設置した電池回収箱に出すことを
推奨していますが、それが難しい場合に不燃ごみとして処理することが多いようです。
市町村によってごみの捨て方が異なりますので、その指示に従ってください。
(例:東京都新宿の乾電池の出し方「https://www.city.shinjuku.lg.jp/seikatsu/file09_01_00014.html」)
また、捨てる際にはすべての+極と-極をセロハンテープやビニールテープ等で絶縁しましょう。
電池の端子は金属製で、特にコイン形リチウム一次電池はほぼ全面が金属です。
縁処理をしていない状態で他の金属や電池と触れると、ショートして発熱・発火・破裂などの
事故を起こす恐れがありとても危険なのです。

二次電池である小型充電式電池に関しては、一般ごみとして捨てることはできません。
小型充電式電池とは主にリチウムイオン電池やニカド電池、ニッケル水素電池などであり、
携帯電話やスマートフォン、モバイルバッテリー・パソコン・デジタルカメラ・電子たばこなど
私たちが日常生活で使用する様々な製品に幅広く普及しています。
日常の至るところで使われているので意識しづらいかもしれませんが、
主な材料であるニッケル(Ni)・カドミウム(Cd)・コバルト(Co)などは希少な資源であり、
「資源有効利用促進法」によって回収・リサイクルが義務付けられています。
小型充電式電池(電池単体)の回収・リサイクルは、電池メーカー等が会員となって設立された
「一般社団法人JBRC」のリサイクル協力店(電器店、スーパーマーケット、ホームセンターなど)で
実施しており、店舗に設置された「充電式電池リサイクルBOX缶」等で回収しています。
回収対象やお近くの協力店等の詳細は、出典のリンクをご参照ください。

リチウムイオン電池内臓製品の不適切な廃棄による、処分場等での発火事故は急増しています。
環境省の調べによると、2023年度にごみ収集車やごみ処理施設で起こった、
リチウムイオン電池が原因とみられる火災は8543件でした。
処理施設で一度火災が起こると、その被害額は膨大なものになるだけでなく、
受入を停止せざるを得ない状況となることで、地域のごみ収集にも影響がでますので、
私たちの日常にも密接に関わってきます。
近年、様々な団体や企業がこの問題に対応する為に、新たな取組を始めています。
株式会社ローソンでは、2025年10月15日(水)から順次、リチウムイオン電池を内蔵した
使用済みのモバイルバッテリー、加熱式・電子たばこ、携帯電話・スマートフォンを
回収する実証事業を、茨城県守谷市および神戸市内のローソン計4店舗
(守谷市:2店舗、神戸市:2店舗)で開始しました。
守谷市では、2024年12月に、常総環境センター(不燃ごみ処理施設)でリチウムイオン電池が
原因と推察される火災が発生し、同センターは現在も復旧していない状況です。
(執筆時点「2025年11月」の情報です。)
今回の実証事業では、守谷市と神戸市のローソン計4店舗に、リチウムイオン電池を内蔵した
対象製品の回収用ボックスが設置されます。店舗で回収した製品は、それぞれの市が回収し、
リサイクル工場へ搬入されます。守谷市では、KDDI社が守谷市から回収した携帯電話や
スマートフォンを受け取り、これらのリサイクルを行います。
リチウムイオン電池を内蔵したモバイルバッテリー、加熱式たばこ、携帯電話・スマートフォンは、
2026年4月から「指定再資源化製品」に追加され、メーカーおよび輸入販売業者には
自主回収・再資源化の促進が義務化される見通しとなっています。
ローソンはそれに先んじて、今回の運用を開始しました。今後は、更に多くの企業でこのような
リチウムイオン電池の回収に関する動きが出てくると予想されます。
さて、第7回目となる「電池の捨て方について」、ご理解頂けましたでしょうか。
電池は簡単に手に入る反面、その捨て方に悩んでいる方も多いかと思いますが、
小さいからといって燃えるごみなどと一緒に捨てるのは絶対にNGです。
近年廃棄物処理事業者の処理工場などでも、電池の混入が原因とされる火事が多発しています。
必ず絶縁処理・分別をし、正しく捨てて頂ければと思います。
次回の投稿も是非、読んでみてくださいね!!

参考)
・出典: 電池工業会「電池について」
(https://www.baj.or.jp/battery/index.html)
・出典: 東京都環境局「「リチウムイオン電池 混ぜて捨てちゃダメ!」プロジェクト」
(https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/recycle/battery)
・出典:経済産業省「小型二次電池のリサイクル(資源有効利用促進法)」(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden/index03.html)
・出典:JBRC(https://www.jbrc.com/)
・出典:LAWSON「ニュースリリース」(https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1511282_2504.html)
・出典:FNNプライムオンライン「燃えるリチウムイオン電池──急増するごみ処理施設での発火や爆発事故 AI導入も追いつかない現場の実態…便利さの裏に潜む“身近な危機”」(https://www.fnn.jp/articles/-/944821)
・出展:環境省「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策の通知について」(https://lithium.env.go.jp/recycle/waste/lithium_1/pdf/02_setsumeikai_file.pdf)