この記事を読んで下さっているみなさま、こんにちは!エコスタッフ・ジャパン株式会社(ESJ)の小松崎です。
このコラムでは、主に「産業廃棄物に関する基礎知識」や「環境に関する時事ニュース」について取り上げて解説しております。
第10回となる今回のコラムでは、「災害廃棄物」について簡単に解説していきます。
日本は【災害大国】と謳われるほど、自然災害の多い国です。
実際に、世界全体に占める日本の災害発生割合は、マグニチュード6以上の地震回数20.8%、活火山数7.0%、
死者数0.4%、災害被害額18.3%と、世界の0.25%の国土面積に比して非常に高い割合を占めています。
その大きな要因は、【四季】と【地形】にあると言われています。
要員1:四季
日本には四季がある為、季節の移ろいに伴って様々な気候変動があります。
春から夏への季節の変わり目には梅雨前線が日本付近に停滞し、活動が活発となって多量の雨が降りますし、
夏から秋にかけては熱帯域から台風が北上し、天気に大きな影響を及ぼします。
冬にはシベリア大陸から吹き出す乾燥した強い寒気が日本海上で水蒸気の補給を受け、日本海側の地域に
世界でもまれに見る大量の降雪・積雪をもたらしており、しばしば豪雪による被害も発生します。

要因2:地形
日本列島は海洋プレートと大陸プレートの境界に位置しているため、巨大地震やプレートの運動に起因する
内陸域の地殻内地震などの被害を受けやすい地形をしています。
島国であることから、そうした地震の際の津波による被害も受けやすく、また環太平洋火山帯に位置することから
活火山の動きも活発です。急峻な地形ゆえに河川は著しく急勾配であり、ひとたび大雨に見舞われると急激に河川流量が
増加して洪水も発生しやすくなります。沖積平野を中心に人口が集中し高度な土地利用が行われるなどの国土条件の
特徴と相まって、なおさら河川の氾濫等による被害を受けやすいのです。

それではここからは災害廃棄物について、説明していこうと思います。
先述したような理由から、日本では災害による被害が頻発します。このように災害によって発生したごみ類を
【災害廃棄物】と呼びます。どんな災害であっても、水浸しになった自宅や倒壊した建造物・瓦礫などは、
日常生活を取り戻す為に、撤去或いは片付けなければなりません。
災害廃棄物は、廃棄物の定義や処理等のルールを定めた法律である「廃掃法」に於いて
定義されているものではありませんが、その収集運搬や処分については普通の廃棄物と異なる点があります。
災害廃棄物は一般のごみ類のようにステーションなどに出されたものを収集車が回収するのではなく、
【被災者自らが仮置き場に集約する】ことが前提となっています。
仮置き場とは市区町村等の行政が定めた災害廃棄物を集積するための広い場所のことです。
災害廃棄物はここで概ね10種類ほどに分類されて、決められた位置に置かれていきます。
災害廃棄物には壊れた家財や瓦礫なども含まれる為、例えば車を所持していない場合などは、
被災者自身が仮置き場までそれらを運ぶことは非常に大変であると言えるでしょう。

そうであっても被災者の方々に協力をお願いしなければならないのには、以下のような理由があります。
まず、災害廃棄物は多量に排出される上、普段家庭からあまり出てこない屋根瓦、壁材、柱等の建物が壊れたものを含んでいます。
その為、分別する種類が多くなる傾向にあり、行政で保有している数倍、数十倍の数の収集車が必要になることが予想されます。
そうなるとステ-ションなどに出されたごみを収集できなくなり、結果としてごみが街中にあふれて害虫や悪臭が発生し、
生活環境の悪化や公衆衛生上の支障を招く恐れが出てきてしまうのです。
とはいえ、やはり被災者自らに仮置き場までの集約を【お願い】するのには、限界があるようにも思えます。
災害廃棄物が適正に処理されるためにも、国全体としての対策が必要になるでしょう。
まだ記憶に新しい方も多いと思います。平成23年3月に発生した東日本大震災では、地震と大規模な津波により
膨大な災害廃棄物が発生しました。その量は、全体で約3,100万トンにもおよび、これは全国の家庭などから
排出されるごみ・し尿などの一般廃棄物の1年間分である4,500万トンの約7割にも達する量です。
特に石巻ブロックでは宮城県全体の4割(800万㌧、東京ドーム8杯分)、ブロック110年分の廃棄物が発生したため、
この量を受け入れられる処分場がなく、早急に対策を講じる必要があり、処理完了のために廃棄物を資源として
「リサイクル」することが命題化されました。
【実際に行われたリサイクル】
(1)土木分野と廃棄物処理分野の技術融合
焼却灰の処理について、従来から産業廃棄物処理分野で採用されている撹拌技術の改良・導入を行いました。
これにより造粒固化処理を行い、その品質・安全性検証を行ってリサイクルを実現しました。
造粒固化技術が確立されたことで、全量が石巻港埋立資材としてリサイクルされました。
(2)津波堆積物の洗浄
リサイクル災害廃棄物選別後のふるい下土砂や土壌環境基準を超過した津波堆積物について、
ダム現場で従来から活用されていた湿式洗浄技術を改良・導入し、土壌洗浄処理を行いました。
これにより最終処分されていたふるい下土砂、土壌環境基準を超過した津波堆積物から良質の砂を製造し、
国土交通省の北上川堤防復旧工事にて全量リサイクルが完了しました。
(国土交通省、宮城県、石巻市、ゼネコンの連携。2013年4月23日国土交通省より記者発表)
東日本大震災で発生した災害廃棄物のリサイクルに関しては、リサイクルが難しい廃棄物を鹿島建設株式会社など
9社で構成する特定共同企業体が担当し、産官学の連携枠組みが形成されました。
また、災害廃棄物由来の資材の生成及び安全性確認は特定共同企業体、安全性でも特に資材の長期安定性の評価は大学、
利用計画の策定は地方公共団体が行うなど、多くの団体や企業が一丸となってこの問題の解決にあたりました。
結果として、過去に類を見ない110年分の膨大な廃棄物は、発災後わずか3年で処理が完了し、
リサイクル率も85%に達するに至ったのです。
さて、第10回目となる「災害廃棄物」について、ご理解頂けましたでしょうか。
災害廃棄物は、法律で定義された廃棄物ではありませんが、災害大国である日本に住んでいる我々にとっては、
決して無関係とはいえない廃棄物であると言えます。そして、その処理やリサイクルは、優れた廃棄物処理技術と
多くの人々の協力と尽力の上に成り立っているのです。
次回の投稿も是非、読んでみてくださいね!!

参考)
・出典:災害廃棄物情報プラットフォーム「災害時の対応を知る」(https://dwasteinfo2.nies.go.jp/page/page000189.html)
・出典:内閣府「巨大災害による膨大な廃棄物 世界初の大規模リサイクル利用」(https://www.cao.go.jp/)
・出典:内閣府「災害を受けやすい日本の国土」(https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h18/bousai2006/html/honmon/hm01010101.htm